ありがとうって思うことを一日3つ言ってみて

スウェーデン留学記 https://www.bth.se/eng/msls/

「そういうふうに頭が働くの、いいね」

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プログラムが始まった最初の数日、声も身体も大きな人たちに囲まれて小人になった気分で、心細かった。日本人は私一人だったし、特に寒い国から来た人たちって本当に背が高い、女子も。私は日本ではそんなに小さいほうじゃないのに、人々を見上げっぱなしだった。みんなにこやかで優しいしフレンドリーなのはわかっていても、生き物としての本能で「怖い」と思ってしまった。

 

確かオリエンテーションの一コマだったから、8月下旬、学校が始まったばかりの頃。人数多めのグループで話し合いをしていた。みんながバンバン意見を出す中、私はタイミングを見失い、そもそも会話に割って入るほどのアイディアも浮かばず、せめてなにかパターンを見つけようと、キーワードを書きとめていた。この人なんにもしゃべらないな、と思われていると思っていた。

 

そんな私に気づいたクラスメイトの一人から「なにを書いているの」と聞かれたので、メモを見ながら「こういう言葉が繰り返し聞こえてきていると思う」と答えた。

 

「へえ!そういうふうに頭が働くの、いいね」その人はそう言って、「ちょっとみんな聞いて。なんか大事なことをメモしてる人がいるよ」と私が発言できるようにしてくれた。

 

このやりとりはずっと、心の支えだった。数えきれない場面で、自分ができることを場に提供するために一歩踏み出す勇気をくれた。そして、私の話に耳を傾けようと思ってくれる人たちのやさしさがあったから、声を聞いてもらうことができたのだ、と今わかる。